武田薬品工業・社長あて申し入れ書

 
 
平成20年8月13日
 
武 田 薬 品 工 業 株 式 会 社
代表取締役社長 長谷川 閑 史 様
武 田 問 題 対 策 連 絡 会          
共同代表                      
青柳節子 小林麻須男 平倉 誠 宮澤政文
同連絡先  木村直人              
同     斎藤勝彦              
同      竹岡健治              
 
貴社新研究所建設計画に関する公開質問状へのご回答
並びに公開討論会ご参加のお願い
 

拝啓 残暑の候、貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。

貴社武田薬品工業株式会社が鎌倉市と藤沢市に位置する旧湘南工場跡地に計画しました新研究所建設事業は、神奈川県の条例に基づき現在県環境影響評価審査会にて事業者の作成による環境影響予測評価書案の審査が進行中です。

危険性の高い病原菌を扱うP3施設関連を含め予測される研究実験内容は情報が乏しいうえに、人口密集地域で不測の事態を防ぎにくい立地、異常なほど大量な水や空気が消費されること、病原体の完全な「物理的封じ込め」は不可能であることなど、本年3月に市民が意見書を提出し多くの疑問点を提起しましたが、貴社の回答に当たる「見解書」(5月に縦覧)を市民が精読しましても疑問は解消せず、ことにバイオ関連については逆に不安が募るばかりでした。新研究所によって、広域にわたる生活環境の大幅な悪化、その結果多くの市民の生命ならびに健康を損なう恐れがあるという懸念を、引き続く7月に開催された公聴会において、21名の公述人が訴えました。7月21日に開かれた貴社主催の説明会においても、住民の質問にたいして、誠意ある具体的回答は得られず、依然として私どもの不安と恐怖の念は払拭されていません。

バイオ災害は起きてからでは取り返しがつきません。市民にとって最も重要で関心の高いバイオ関連の項目は当研究所計画に関する環境影響予測評価項目に含まれていません。しかし実際に予定されている研究実験内容は、各種の施設、すなわち創薬化学実験施設やP3実験施設、RI実験施設、それらの領域で行う動物実験を考察すればするほど、住民への深刻な影響が想起されます。

 さて、世界に類をみない大規模な新研究所建設計画のアセス対応における貴社のこれまでの経過をみますと、いくつもの貴社らしからぬ対応が散見されますので、以下に申し述べさせていただきます。

貴社は、2007年5月に神奈川県のアセス条例に従ってA4サイズ4ページ色刷りのリーフを各家庭へポスティング配布を行い、環境影響予測評価実施計画書を作成し県知事に提出したこと、ならびに研究所建設内容の主旨を当リーフに記載して周知したとしています。次いで本年の2月、研究所建設に関わるアセス説明会開催の案内リーフが再び戸別配布されましたが、A4サイズ4ページ色刷りの中には「事業の目的」「事業計画の概要」という項目はありますが、事業実態は何ら明確に示されておらず、特にP3施設については、住民はタウン情報紙および人伝えにて計画を知ったというのが実情です。2007年5月のリーフを取り寄せてみても、計画書と評価書案の違いはありますが、評価項目も同じであり、事業実態の説明内容も同様、市民には不親切な記載でした。
本年2月開催の、初めての住民説明会においては、説明の重点は、工場解体と研究所建屋建設計画に置かれ、事業内容(病原体の取り扱い、実験動物の焼却施設の存在)などの部分は、付け足し的にしか扱われていませんでした。また、私ども市民の意見書に対する武田薬品の見解書(本年5月)が示されてから、武田薬品は、私どもの安全に対する危惧について、誠実に答える対話の機会はいくらでも作れたにもかかわらず、7月5日の県主催の公聴会においてすら、大川滋紀取締役(研究開発の責任者)は、武田薬品の世界における研究拠点と、ホームページにも書かれているタケダイズム(=誠実)の説明のみに終始し、何ら住民の疑問に真正面から答えようという姿勢がみられませんでした。

市民にたいする同じように不誠実と感じられる態度は、武田薬品主催の最近の説明会(7月21日)にも認められました。まず、説明会の案内先を、県の条例で定める3km以内の「関係地域住民」の中でも、研究所敷地に隣接する「ご近隣の皆様」に限定し、それ以外の関係住民には、会の開催を知らせることもせず、入場、発言も制限するような案内文で、当日の質問時間は、正味30分にも満たないものでした。武田薬品側の説明は、新しい方々もいるという言い訳のもと、またもやホームページレベルのタケダイズム(=誠実)と、従来通りの一方的な、かつ概括的な新味を欠く説明のみでした。貴社側が繰り出した専門家(小松俊彦氏)も病原体(細菌・ウィルス・DNA等)の施設内への物理的封じ込めについて、100%とはいい切れず、0.03%程度もれることを認める始末。住民の危惧は何一つ解消されることがありませんでした。
しかるに、武田薬品は、再度の対話型説明会についての住民の要望に対して、完全に拒否し、説明会を打ち切ることを言い切りました。

かかる数々の住民無視ともいえる対応は、やがてタケダイズム(=誠実)を標榜する貴社の経営に悪影響を及ぼすことは必至と思われ、長谷川閑史社長(環境担当取締役も兼務)以下経営陣の猛省を促すとともに、部下に対して適切な善処方指示を切にお願い申し上げる次第です。

さて、このように不誠実な貴社の態度、また、不十分な環境アセスをおこなっていることから、私たち住民は武田問題対策連絡会を立ち上げ、住民の健康と安全、湘南の良好な環境を守るため、貴社並びに関係機関に強力に働きかけを行うことを決意いたしました。
環境アセス評価案からバイオ関連が除外されているという重大な問題点をはじめ、大気汚染、汚染排水放出問題、バイオ・遺伝子組み換え実験、動物実験等数々の問題点について、別紙の如く127項目の公開質問状を提出いたします。
来る9月5日までに誠実なご回答をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。

また、9月13日(土)にはこの質問状に基づく公開討論会を計画しております。是非ご出席いただきたく、誠実なタケダイズムを発揮していただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

万一、貴社の誠実な態度が見られない場合には、ご存知のように7月21日の貴社説明会で住民からすでに声が出ている不買運動その他の手段に訴えざるを得ないこともあり得ますが、そのような状況は私どもも望むところではありません。

末筆になりましたが、貴社の一層のご発展を祈念いたします。

敬具
追伸 本書面につきましては、事の性格を考慮し公開とさせていただきます事、また、ご回答をいただきました際も、特別の場合を除き公開させて頂きますので、ご了承ください。